鋸岳から甲斐駒ヶ岳
2011年8月17日~21日
参加者:3名
8月17日 晴
平塚駅20:15=道の駅南アルプスむら長谷(テント泊) 1:00
8月18日 晴後雨
道の駅南アルプスむら長谷6:15=戸台駐車場7:00~20―角兵衛沢出合(渡渉) 10:05―昼食12:05~30 ―大岩壁の下14:25~35― (ルート探索) 14:45~15:10――大岩下ノ岩小屋着(幕営) 15:15 行動時間 9:00、歩行時間 6:04
8月19日 雨時々曇
大岩下ノ岩小屋5:50―雨具着用6:45~7:00―角兵衛沢ノコル9:00―第一高点(ハーネス装着)9:55― 鹿窓10:55~11:10―第二高点12:50~13:20―中ノ川乗越14:00~10―鋸岳、駒ヶ岳標識15:55~16:05 ―六合石室17:30 (水汲み往復40分) 行動時間 11:40、歩行時間 8:55
8月20日 雨
六合石室6:15―甲斐駒山頂9:00~20―六方石室10:15~45―駒津峰11:15~20―北沢駒仙小屋(泊) 14:00 行動時間 7:45、歩行時間 6:15
8月21日 雨後曇
北沢駒仙小屋8:00―戸台行バス停8:15~9:00=戸台大橋9:50―戸台駐車場10:15=仙流荘(入浴・食 事) 10:45~13:00=相模湖駅16:15=平塚駅17:30 行動時間 9:30
第一高点山頂
40年程前に北沢で正月合宿をし、仲間が甲斐駒から鋸岳を縦走して角兵衛沢を下降したのをサポート して以来、頭の片隅に憧れと共に宿題をやり残してきたという感じがあったものの遠い夢と思っていた のが、2008年8月の槍ヶ岳北鎌尾根に続いて、会の仲間と夏山合宿で実現するとは、幸運でした。
ガイドブック等では、甲斐駒ヶ岳から鋸岳へと下っていく1泊2日のプランが多く載っていますが、 挑むからには炎天のなか角兵衛沢から鋸岳、甲斐駒岳へとオーソドックスに高度を上げて2泊3日 で岩稜を縦走する登りがいのあるルートを選びました。
本ルートの核心部は第一高点から第二高点の間であり、ポイントは、1.小ギャップへの8mほどの垂 壁の下り2.鹿窓からの30mの垂壁の下り3.大ギャップルンゼから先のルート発見であると、事前に確認 していましたが、1.2については、新しく鎖が架けられてはあったものの、雨に濡れて滑り、補助に 使用するのは危険なので確実に懸垂下降をして下りました。3.については、多くのパーティーが右往 左往しているようでしたが、間違うこともなく、迷わずにスムーズにルートを進むことが出来ました。
今回、縦走して感じたことは、晴れていればフリクションを利かして少しは歩きやすい岩稜帯が、雨 で濡れていてフリクションが利かず、ツルツル滑り、核心部だけでなく甲斐駒ヶ岳の頂上を踏むまで の間、終始緊張を持続させねばならず、シビアな縦走でした。また、岩は逆層のうえ崩壊が激しく、落石も起こりやすく、ガレも多く、歩きづらく、このルートは 冬に雪が付いてある程度コンクリ―ト化したほうが歩きやすそうに感じました。
宿泊場所は、山中1日目は大岩下ノ岩小屋のある岩壁の庇の下にツエルトを張りました。
2日目の六合石室は全面改修され、床まで貼り付けられ、風雨を遮断し、冬も使える貴重な快適な場所 でした。また、水場は、稜線を少し戻って石碑がある白い砂地の左端に沿ってブッシュの中に ある踏み跡を10分程下ったところにありました(下る地点に「水場」の標識がないので分かりにくい)。
永年の宿題を全員60歳を越えた会員で何とか無事にやり遂げることが出来、記憶に残る思い出とな りました。
三歩進んで二歩下がる800mにも及ぶガレ沢登り、10m、30mの懸垂下降そして雷鳥との出合い N.A
鋸岳山行が終わって、日が経つにつれて「よくもまあ、あんな厳しいところを、雨の中ザックの重み はいっこうに軽くならないのに岩場を登ったり下りたりできたものだ」という実感がじわじわとわいて くる。
山行一日目は、しびれがくる位の冷たい雪解け水の川を裸足で渡り、角兵衛沢に沿った登山道を登っ ていった。途中には、高さ7~8mもある大岩がいくつか転がっていた。この日は、高さ70~80mもあ ると思われる大岩壁の根っこにツエルトを張った。名前も「大岩下ノ岩小屋」だ。わき出る水は冷蔵庫 で冷やしたビールよりももっと冷たくおいしい。絶えずわき出ていた。お客は我々3人だけ。心おきな く一日目の夜を過ごした。(夜、雨にたたられツエルトの中のものは水浸しというおまけも付いたが)
二日目、この日は断続的にくるガスのなか、角兵衛沢のガレ登り。はっきりした距離はわからないが、800mくらいはあると思われた。ガレの上に足を踏み出すたびに、 周りの岩がザザーと流れていく。まさに3歩進んで2歩下がる大変さだ。3時間後このガレ沢を脱出し、 コルに着いたときはほっとしたものだ。このあと第一高点に登頂するが、展望はなし。
鹿窓では30mの懸垂下降を経て、第二高点山頂へ。このときガスが晴れて、通ってきた第一高点の山頂と反対側の仙丈ヶ岳の山容がくっきりと見えた。
心のガスも晴れたように気持ちが良かった。この日の宿泊場所の六合石室は、リフォームされ快適な夜 を過ごすことができた。(この日の水場までは、15分も山を下ったところにあり、水くみに往復40 分もかかった)
第二高点山頂
六合石室で
三日目、この日はいよいよ甲斐駒ヶ岳の山頂をめざす。さすがに鋸岳から続く登山道は岩場の厳しい道だ。でも、うれしいことに九合目上付近で雷鳥に出逢うことができ、厳しい山行に明るい気持ちを添えてく れた。
Iさんのパーティーとは山頂では会うことができなかったが、甲斐駒ヶ岳を下山中、六方石で会うこ とができた。その夜は、2つのパーティー10名が北沢駒仙小屋で盛り上がった。とうとう下山する四日目も雨の中だった。できれば天気のいい日にもう一度この山行をやってみたい ものだと思う反面、もう結構という気持ちも出てくる複雑な心持ちだ。この山行を細心の心配りで準備してくれたリーダーのWさんに、また往復、車を運転してわれわれの 山行を可能にしてくれたOさんに感謝します。
ガソリン代 9,000円、高速代 3,900円、食糧 8,500円、バス代 1,150円/人、小屋代 4,500円/人、 入浴代 600円/人
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