北海道・樽前山、夕張岳、アポイ岳
2020年6月26日(金)~2020年6月28日(日)
参加者:男1名、女7名:計8名
6月26日:樽前山東山コース
樽前山7合目登山口12:55~東山コース~13:55樽前山(東山)~(10)~14:55 7合目登山口15:10=16:35札幌ホテル着
行動2時間、歩行1時間50分
6月27日:夕張岳大夕張コース
札幌ホテル出発3:30=5:45夕張岳登山口 5:55~6:15冷水の沢分岐~(5)~(10)~8:10馬の背分岐(5)~9:45望岳台(10)~10:25憩い沢~11:40吹き通し~12:15夕張岳(5)~12:30神社(昼食20)~(10)~15:20馬の背分岐(5)~16:30夕張ヒュッテ~16:45林道終点17:00=19:45静内ホテル着
行動10時間50分、歩行9時間40分
6月28日:アポイ岳ジオパークからのコース
静内ホテル発6:00=7:30アポイ岳登山口7:45~(5)~9:15五号目山小屋(10)~10:00馬の背分岐~10:10トラバース分岐~10:50アポイ岳(昼食25)~11:45幌満お花畑(10)~12:20トラバース道経由馬の背~13:00五合目山小屋(10)~14:15登山口14:30=17:00新千歳空港
行動6時間30分、歩行5時間30分
6月26日樽前山:
樽前山は新千歳空港から車で1時間以内とアクセスが良く人気の山だが、雨模様の平日とあって7合目登山口駐車場に車はまばら。ミヤマハンノキが茂る登山道を行くとすぐに支笏湖の展望が開ける。
足元にはマイズルソウやマルバシモツケの花が咲く。しばらく行くと樹林帯が終わり火山礫に覆われた道となるがガスで視界は無い。登山道脇にはタルマイソウ(イワブクロ)やイソツツジ、ウラジロタデ、ミネヤナギ、コケモモなどが咲き誇る。
西山との分岐あたりから強風となり、溶岩ドームもガスで見えない。東山(1022m)まで急いでピストンして往路を下山した。7合目駐車場に着く頃には雨も上がっていた。
6月27日夕張岳:
花の時期の夕張岳は林道終点の駐車場がすぐ満杯になるということで、札幌の宿を午前3時30分に出発、6時に林道終点の登山口に到着。雨模様ということもあり我々が一番乗りであった。雨具に身を固めて冷水ノ沢コースを登る。トドマツやアカエゾマツの針葉樹にミズナラやカエデ類が混じる緑豊かな道を進む。冷水ノ沢を過ぎたあたりからシラネアオイの大群落がこれでもかと現れる。ミヤマスミレやミヤマオダマキの紫、チシマヒョウタンボクの赤、ツバメオモトやウラジロナナカマドの白と色とりどりの花が目に入る。サンカヨウの白い花が雨に濡れて透明で美しい。
展望台を過ぎて前山を回り込むと蛇紋岩の露出した高層湿原となりいよいよ高山植物のパラダイスとなる。いつの間にか雨も上がり、エゾノリュウキンカ、オオバキスミレ、シナノキンバイ、ミヤマキンポウゲ、チングルマ、イワイチョウ、ユウバリアズマギク、アイヌタチツボスミレ、エゾレイジンソウ等色とりどりの花々を堪能した。シソバキスミレも2株見つけた。
雪渓の壁を登ると吹き通しの礫地となり本日のハイライトであるユウバリソウと出会う。夕張岳の固有種で今が見頃と咲き誇っていた。夕張、日高山系と早池峰山に分布が限られるナンブイヌナズナも近くにひっそり咲いていた。ユキバヒゴタイはまだ紫の蕾。エゾミヤマクワガタとエゾノハクサンイチゲ、タカネグンバイを見ながら進むと頂上直下の神社。さらにもうひと登りで夕張岳山頂(1668m)だ。
神社で昼食としたが、花の写真撮影に時間を費やして予定の時刻を大幅に超えていたので、急いで下山。下山道は馬の背コースとしたが道がぬかるんで滑りやすかった。今シーズンは休業の夕張岳ヒュッテに下山し、花の夕張岳に別れを告げた。
6月28日アポイ岳:
アポイ岳ジオパークの園地からスタート。この日も出だしは雨。海抜は60mだが既にミズナラやハウチワカエデ、トドマツ、アカエゾマツなどの冷温帯林だ。所々に設置されたクマよけの鐘を鳴らしながらよく整備された登山道を進む。90分ほどで避難小屋(365m)に到着。ここからはカンラン岩の稜線歩きとなる。やや丈の詰まったアカエゾマツやキタゴヨウに矮性化したミズナラが混じる。馬の背(610m)が近付くとハイマツが現れ、露出したカンラン岩の岩陰にアポイヤマブキショウマ、キンロバイ、アポイアズマギク、アポイハハコ、エゾコウゾリナ、アポイタチツボスミレ、アポイゼキショウなどのアポイ岳特有の高山植物が次々と現れる。
トラバース道分岐(650m)からはハイマツ帯を進むのだが、驚いたことに山頂(810m)付近はダケカンバ帯という植生の逆転現象が見られる。天候は回復し青空ものぞく。山頂からは日高の海岸線が見渡せ、襟裳岬も指呼の間だ。
昼食後、幌満の花畑に向かって南斜面を下る。ハクサンシャクナゲがこれから満開期を迎えるところ。ここでもダケカンバ帯(一部シラカンバも混じる!)の下にハイマツ帯が広がるという不思議な植生が見られる。幌満の花畑はかつては固有種のヒダカソウ(花期は5月)がたくさん見られたが、盗掘によって激減し現在はほとんど見られなくなったという。しかし、エゾムラサキの可憐な青い花が我々を迎えてくれた。
トラバース道から往路に合流し、予定より若干の遅れで下山。3日間の北海道の花の山旅を締めくくった。
2泊3日で樽前、夕張、アポイの3つの山をそれぞれ日帰りで登るという強行軍。しかも天気は、梅雨の時期とは言え、毎日雨のち曇りという悪条件の中で、文句も言わず付いて来てくれたメンバーに感謝したい。その甲斐あって、目的とする花はほぼ全て見ることができたし、1000mにも満たない標高で森林限界(高山帯)に達するという内地府県では経験できない北海道の植生を体験できて、意義のある北海道遠征であったのではないかと思う。
●どの山に登っても、まだ見ぬ花はないかと、絶えず登山道の両側に眼を走らせて、一体何種類数えただろうか。蛇紋岩やかんらん岩の地質帯に咲く固有の植物は絶滅が心配されているようだが、どうか命を繋いでほしい。長距離の移動でリーダーには大変な負担をお掛けしましたが、素晴らしい山に出会えました。
●自然観察の山行とはこういうものかと今までとは異なる経験をした。知識欲・探求心を人一倍持ち貪欲でないと満足できないだろうと思った。
●雨が降っていることも忘れ木々や花々に夢中になり、見つけた!これ何?と煩いくらいはしゃいでしまいました。楽しい、素晴らしい登山でした。
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