丹沢に咲く春の花 
豊かな自然が残された丹沢の山には四季おりおりにたくさんの花を見付けることができます。春の登山道に咲く花たちを紹介します。
ウワズミザクラ(上溝桜) バラ科ウワズミサクラ属
日当たりの良い林縁などに見られる落葉高木。長い穂に白い小さな花を総状に付けます。
分布:北海道(西南部)・本州・四国・九州
生育地:山地の小川沿い
花期:5~6月、大きさ:10~15m
ウワバミソウ(蟒蛇草) イラクサ科ウワバミソウ属
湿った登山道の脇に生える草で春に小さな花を付けます。東北などではミズと呼ばれる山菜です。
分布:北海道・本州・四国・九州
生育地:山地の湿った斜面
花期:4~9月、大きさ:30~40cm
キクザキイチゲ(菊咲一華) キンポウゲ科イチリンソウ属
花は白色から淡青色まで、姫次の登山道に群生がありました。
葉は3出複葉で深い切れ込みがあります。
分布:北海道・本州(近畿以北)
生育地:低地から山地の明るい林内
花期:3~5月、大きさ:15~20cm
別名:キクザキイチリンソウ、ルリイチゲソウ
キバナノショウキラン(黄花の鍾馗蘭) ラン科キショウラン属
落葉樹林下などに生える腐生植物。
根茎から太い花茎を地上に伸ばしてその先に6~15個の花を付ける。
分布:本州(関東以西)・四国・九州
生育地:山地の落葉樹林下
花期:6~7月、大きさ:20~30cm
キンラン(金蘭) ラン科キンラン属
平地・丘陵地の林の下に生える野生ラン、花茎の先に黄色い花を付けます。花弁の内側には赤い筋がはいっています。
分布:本州・四国・九州
生育地:平地・丘陵地の林の下
花期:4から6月
別名:-
ギンラン(銀蘭) ラン科キンラン属
平地・丘陵地の林の下に生える野生ラン、花茎の先に白い花を付けます。葉は細長い楕円形です。
分布:本州・四国・九州
生育地:低地から山地の林内
花期:5から6月
別名:-
ギンリョウソウ(銀竜草) イチヤクソウ科ギンリョウソウ属
山地の林間に生える腐生植物。葉緑素がなく腐敗したものから栄養分を取ることで生活する植物です。
分布:北海道・本州・四国・九州・琉球
生育地:山地の林内
花期:6月中旬~7月中旬
別名:マルミノギンリョウソウ、ユウレイタケ
クモキリソウ(蜘蛛散草、雲散草) ラン科クモキリソウ属
葉は楕円形~心形で、縁が細かく縮れる。花茎の先に5~20個の淡緑色の花を付ける。唇弁が巻き込むように強く反り返る。
分布:北海道・本州・四国・九州
生育地:落葉広葉樹の林床、林縁
花期:6~8月、大きさ:10~30cm
クワガタソウ(鍬形草) ゴマノハグサ科クワガタソウ属
小さな花から突き出す雄しべを兜のクワガタに見立てて名付けられたと言います。
似た花にヤマクワガタもあります。クワガタソウは茎の毛が屈出することが特徴。良く見なけらば判り難いものです。
分布:本州(東北南部から紀伊半島)
生育地:山地のやや湿った林内
花期:5~6月、大きさ:10~25cm
コイワザクラ(小岩桜) サクラソウ科サクラソウ属
サクラソウの仲間では湿原に咲くハクサンコザクラが有名ですがコイワザクラは山地の岩場に咲きます。姫次から蛭ヶ岳へと登って行く急な斜面に可憐な花が顔を出していました。
葉は腎円形で軟毛が多く縁は浅く5裂します。枝先に淡赤色の花を数個つけます。
分布:本州(関東西南部・中部・紀伊)
生育地:山地の岩場
花期:5月、大きさ:5~10cm
サンショウバラ(山椒薔薇) バラ科バラ属
富士山周辺に分布するバラです。世附峠近くのサンショウバラの丘に群生地があります。葉がサンショウに似ていることから名付けられました。山中湖村の「村の花」になっています。
分布:本州(富士箱根周辺)
生育地:山地
花期:5月~6月、大きさ:5m
別名:ハコネバラ
シロカネソウ(白銀草) キンポウゲ科シロカネソウ属
姫次から蛭ヶ岳へと登って行く急坂に咲いています。白い萼片が平開し黄色い雄しべが目立ちます。
萼片が平開し裏側に条がほとんどない、花弁の柄がごく細いことなどが特徴です。
分布:本州(神奈川~奈良)
生育地:太平洋側の山地
花期:4~5月、大きさ:10~20cm
別名:ツルシロカネソウ
シロヤシオ(白八汐) ツツジ科ツツジ属
檜洞丸の山頂はシロヤシオが咲くところとして知られています。今年は例年にも増してたくさんの花が咲いていました。枝先に5枚の葉が輪生すること、白色の広漏斗形の花を1から2個ずつ付けをことが特徴です。
分布:本州(東北から近畿)・四国
生育地:太平洋側の山地
花期:5月~6月、大きさ:4~6m
別名:ゴヨウツツジ
シロヤブケマン(白藪華鬘) ケシ科キケマン属
ムラサキケマンの白花種です。花びらの先端に紫色が残っています。
分布:北海道・本州・四国・九州
生育地:やや湿った草原・市街地・農村など
花期:5~6月、大きさ:20~50cm
タニギキョウ(谷桔梗) キキョウ科タニギキョウ属
小さな弱々しい花が上向きに咲きます。葉は卵円形で互生します。
分布:北海道・本州・四国・九州
生育地:山地の湿った林内
花期:5~7月、大きさ:10cm
トウゴクミツバツツジ(東国三葉躑躅) ツツジ科ツツジ属
紅紫色の漏斗状の花を付けるミツバツツジです。雄しべが10本なのが特徴です。丹沢、箱根、関東などに分布します。
分布:本州(宮城~三重鈴鹿山系)
生育地:山地の温帯上部の林内
花期:4~5月、高さ:2~3m
別名:
ナツトウダイ(夏燈台) トウダイグサ科トウダイグサ属
花の形が昔のローソクを用いた照明に似ているからことから名付けられたと言います。夏の名が付いていますが開花は春です。
分布:北海道・本州・四国・九州
生育地:平地・丘陵地・山地
花期:4~5月、大きさ:20~40cm
別名:
ヒトリシズカ(一人静) センリョウ科チャラン属
ブラシのような白い花を1本だけ出すことからヒトリの名前を頭に付けた可憐な花です。源義経が愛した白拍子、静御前から名付けられたのでしょうがまだ草木の芽ぶきの浅い山道に咲く花は確かに可憐な感じを漂わせる花です。
分布:北海道・本州・四国・九州
生育地:丘陵や低山の林内
花期:4~5月、大きさ:15~25cm
別名:ヨシノシズカ
ヒメハギ(姫萩) ヒメハギ科ヒメハギ属
茎の先にカトレアに似た小さな花を付けます。花弁は筒状で赤紫色、白い糸のような雄しべが目立ちます。
分布:北海道・本州・四国・九州
生育地:草原・堤防・芝生
花期:3~5月、高さ:5~15cm
ヒメウツギ(姫空木) ユキノシタ科ウツギ属
ウツギの仲間で白い花を多数つける。葉は長楕円状披針形で先がとがり縁に細い鋸歯があるのが特徴、ウツギはの葉は卵状長楕円形、花の時期は6月で1月ほど遅い。
分布:本州(関東以西)、四国、九州
生育地:日当たりの良い丘陵や山野
花期:5~6月、大きさ:50~70cm
ヒメレンゲ(姫蓮華) ベンケイソウ科キリンソウ属
後沢乗越へと登って行く沢には黄色いヒメレンゲの花が咲いています。都会の道端に咲くメキシコマンエングサや海岸に咲くタイトゴメの仲間ですが、水際の岩などに群生する黄色い花は遠くからも良く目立ちます。
分布:本州(関東以西)・四国・九州
生育地:低地から山地の沢沿いの岩の上
花期:5~6月、大きさ:10cm
別名:コマンネングサ
マムシグサ(蝮草) サトイモ科テンナンショウ属
マムシグサの仲間は地域的な種類も多く見分けることも難しい花の一つです。神奈川の山にはマムシグサ、ミミガタテンナンショウ、ウラシマソウなど、仏炎苞は緑色で白い筋があるのが特徴、紫褐色のものもあります。
分布:本州・四国・九州
生育地:山地のやや暗い林内
花期:4~6月、大きさ:30~80cm
別名:コウライテンナンショウ、カントウマムシグサ
マメザクラ(豆桜) バラ科サクラ属
富士山や箱根を中心とした山地に分布する桜です。花は白色から淡紅色、小輪の一重咲の花を下向きに付けます。花は葉の展開に先立ち開花します。
分布:本州(関東、中部の太平洋側)
生育地:山地
花期:3月下旬から4月上旬 、大きさ:3~8m
別名:フジザクラ、ハコネザクラ
マルバスミレ(丸葉菫) スミレ科スミレ属
鍋割山から小丸へと続く稜線に咲いていました。
分布:本州・四国・九州
生育地:低山の森林や林縁
花期:4~5月、大きさ:5~10cm
ミツバツツジ(三ツ葉躑躅) ツツジ科ツツジ属
春先の稜線にピンクの花を咲かせるミツバツツジ、葉より花が先に咲くことから一段とその艶やかさを引き立たせています。丹沢にはミツバツツジのほか雄しべが10本のトウゴクミツバツツジも咲いているようです。
卵形で枝先に3枚が輪生、雄しべが5本が特徴。
分布:本州(関東・東海・近畿)
生育地:山地の林内
花期:3~4月、大きさ:1~3cm
ミツマタ(三叉・三椏) ジンチョウゲ科ミツマタ属
中国南部原産の落葉低木で室町時代に中国より移入され、江戸時代から製紙に使われるようになりました。各地で栽培されており野山に野化しています。丹沢にもミツバ岳や地獄沢橋周辺など多くの群生地があります。
分布:日本各地
生育地:
花期:3から4月
別名:-
ミミガタテンナンショウ サトイモ科テンナンショウ属
マムシグサの仲間は地域的な種類も多く見分けることも難しい花の一つです。神奈川の山にはマムシグサ、ミミガタテンナンショウ、ウラシマソウなど、仏炎苞の口辺部が耳たぶ状に張り出しているのが特徴です。
分布:本州・四国
生育地:山野の林内
花期:4~5月、大きさ:30~50cm
ヤブウツギ(薮空木) スイカズラ科タニウツギ属
花は漏斗型の濃紅色、白い円柱状の柱頭が目立つのが特徴です。
分布:本州(山梨以西)
生育地:日当りの良い山地、林縁
花期:5~6月、大きさ:2~3cm
別名:ケウツギ
ヤマルリソウ(山瑠璃草) ムラサキ科ルリソウ属
大倉尾根の登山道にヤマルリソウが咲いていました。茎は斜上し淡紫色から淡紅色の花を次々と付けます。
分布:本州(福島以南から九州)
生育地:落葉樹林の林縁や道端など
花期:4~5月、大きさ:20cm
ヨゴレネコノメ(汚れ猫の目) ユキノシタ科ネコノメソウ属
山地の湿ったところに生えるネコノメソウは小さな花です。葯の色、雄しべの数や色、葉の付き方など見分け方が難しい花の一つです。萼片の色が汚れた色と言うことでヨゴレと言うありがたくない名前が付けられています。
分布:本州(関東以西)・四国・九州
生育地:低山から山地・湿地・池沼
花期:3~4月、大きさ:5~15cm
ワチガイソウ(輪違草) ナデシコ科オオヤマフスマ属
細い茎の先に白い小さな5弁の花を付けます。星のような赤い雄しべが良く目立ちます。
分布:本州(関東以西)・四国・九州
生育地:山地の木陰
花期:6~8月、大きさ:5~15cm
写真をクリックすると大きな写真を表示します。