高尾山に咲く花
たくさんのハイカーが訪れる高尾山も豊かな自然が残るところです。日影沢林道周辺にはたくさんのスミレが咲くところとしても知られています。
都会でのお花見が終わるころ高尾山の登山道はサクラやミツバツツジの花が咲き競います。これを目当てに訪れるハイカーも多いようです。
ベニバナヤマシャクヤク(紅花山芍薬) ボタン科ボタン属
落葉樹林内でみられる高さ30~60cmの多年草。環境省の絶減危惧II類に指定されています。高尾山にもわずかながら咲いていますが盗掘が危惧されています。
分布:北海道・本州・四国・九州
生育地:落葉樹林内
花期:5~6月、大きさ:30~60cm
エビネ(海老根) ラン科エビネ属
山地の林中にはえるラン科の多年草。丘陵地帯の落葉広葉樹林に生育します。高尾では園芸目的の盗掘で数が減ってしまったと言います。
分布:北海道・本州・四国・九州
生育地:落葉樹林内
花期:4~5月、大きさ:40~60cm
スズムシソウ(鈴虫草) ラン科クモキリソウ属
山地の林床に生える多年草です。山野草として人気が高いため盗掘が激しく著しく減少していると言います。唇弁が特徴的でこの形からスズムシを連想したのでしょう。
分布:北海道・本州・四国・九州
生育地:落葉樹林内
花期:4~6月、大きさ:10~20cm
セッコク(石斛) ラン科セッコク属
岩の上や大木に着生する植物であす。趣のある山野草で独自の品種や楽しみ方が江戸時代に確立され、それが脈々と受け継がれている古典植物です。
分布:本州(中部以南)・四国・九州
生育地:落葉樹林内
花期:3~5月、大きさ:10~40cm
バイモ(貝母) ユリ科バイモ属
中国原産の帰化植物で観賞用に栽培されています。日影沢林道の入り口に咲いていました。
分布:帰化植物
生育地:庭園など
花期:3~5月、大きさ:40~60cm
別名:アミガサユリ
ヒトリシズカ(一人静) センリョウ科チャラン属
日影沢林道にヒトリシズカが群生していました。源義経の愛妾、静御前の名前にちなんで名づけられた花です。
分布:北海道・本州・四国・九州
生育地:丘陵や低山の林内
花期:4~5月、大きさ:15~25cm
別名:ヨシノシズカ
マルバスミレ(丸葉菫) スミレ科スミレ属
日影沢林道にマルバスミレが咲いていました。葉は丸みのある心形でくすんだ感じがします。白い花弁は丸く、距の後部は上方にふくらんでいるのが特徴です。
分布:本州・四国・九州
生育地:低山の森林や林縁
花期:4~5月、大きさ:5~10cm
タカオスミレ(高尾菫) スミレ科スミレ属
ヒカゲスミレの変種です。葉は長卵形から長三角形で表面はこげ茶色、花は白色から黄色がかった白色まで変化があります。
分布:北海道・本州・四国・九州
生育地:山地の谷や沢沿い
花期:4中旬~5月中旬、大きさ:5~10cm
クロモジ(黒文字) クスノキ科クロモジ属
アブラチャンなどとともに春先に黄色い小さな花を付けます。枝を高級楊枝の材料とします。また楊枝自体も黒文字と呼ばれています。
分布:本州(関東・中部以西)
生育地:丘陵地・山地下部
花期:4月、大きさ:5m
ナガバノスミレサイシン(長葉の菫細辛) スミレ科スミレ属
日本海側に分布するスミレサイシンに対して太平洋側に分布します。葉は三角状長卵形で先が尖り縁鋸歯があります。花は淡紫色から白色で、距は太く短いのが特徴です。
分布:本州(関東以西・太平洋側)・四国・九州
生育地:山地の林下
花期:3~4月、大きさ:10m
ウグイスカグラ(鶯神楽) スイカズラ科スイカズラ属
葉腋に花柄を出し淡紅色の花を下向きに付ける。花冠は漏斗状で先は5裂し裂片は平開します。
分布:北海道(南部)・本州・四国
生育地:山野の日当たりのよいところ
花期:4~5月、大きさ:2m
ニオイタチツボスミレ(匂立坪菫) スミレ科スミレ属
城山から続く尾根道にたくさんのスミレが咲いています。ニオイタチツボスミレはタチツボスミレに似ていますが側弁は無毛、花弁の中心の白い部分がはっきりしているなどの特徴があります。
分布:北海道・本州・四国・九州・琉球
生育地:
花期:4~5月、大きさ:5~10cm
オカスミレ(丘菫) スミレ科スミレ属
明るい斜面いオカスミレが群生していました。葉はさじ形から長卵形、花は濃紫から淡紅紫など、全体に毛が無いなどの特徴があります。
分布:北海道・本州・四国・九州
生育地:低山の日当たりの良いところ
花期:4月上旬~5月上旬、大きさ:5~10cm
ジュウニヒトエ(十二単) シソ科キランソウ属
平安時代の女官が着た十二単に見立てたものですが名前ほどの艶やかさはありません。同属種にキランソウがあり、本種と雑種ジュウニキランソウが知られています。
分布:本州・四国
生育地:明るい林内や道端
花期:4~5月、大きさ:10~20cm
センボンヤリ(千本槍) キク科センボンヤリ属
春には花茎の先に白い花を1個付けます。秋には長く伸びた茎の先に筒状花だけの閉鎖花を付けます。これを大名行列の毛槍に見立てて名付けられたものです。
分布:北海道・本州
生育地:山地や丘陵地の日当たりのよい林内
花期:5~6月(春花)、9~10月(秋花)、大きさ:10~20cm(春花)、30~60cm(秋花)
カキドオシ(籬通、垣通し) シソ科カキドオシ属
城山の山頂近くにカキドオシが咲いていました。垣根を通して隣の家まで侵入することから付けられた名前です。
分布:北海道・本州・四国・九州
生育地:平地・丘陵地の路傍草地
花期:4~5月、大きさ:5~25cm
別名:カントリソウ
アケボノスミレ(曙菫) スミレ科スミレ属
高尾山の登山道にアケボノスミレが咲いています。葉が開く前に花が咲く、葉は三角状のハート型で花の時期には内側に巻きこむのが特徴です。
分布:北海道(南部)・本州・四国・九州
生育地:平地・丘陵地・山地
花期:3~5月、大きさ:10~15cm
ミヤマカタバミ(深山傍食) カタバミ科カタバミ属
高尾山の登山道にミヤマカタバミが咲いています。花の色は白色、葉は3葉で直線的な三角形なのが特徴です。
分布:本州(東北南部~中国)・四国
生育地:山地の落葉広葉樹林などの林床
花期:3~4月、大きさ:5~10cm
別名:エイザンカタバミ
ヤマブキ(山吹) バラ科ヤマブキ属
高尾山の登山道にヤマブキが咲いていました。園芸種のヤエヤマブキは雄しべは花弁となり雌しべも退化しているので実は付きません。太田道灌の故事で知られる「七重八重花は咲けどもヤマブキの・・・」の歌にも八重咲きのヤマブキは実がならないと詠っています。
分布:北海道・本州・四国・九州
生育地:低山地・庭や公園に植裁
花期:4~5月、大きさ:1~2m
別名:ヤマブリ
エイザンスミレ(叡山菫) スミレ科スミレ属
比叡山で最初に見つかったことからエイザンの名がありますが山では普通に見られるスミレです。葉は3全裂し側葉がさらに2裂するため5小葉に見えます。花は大きく紅紫色から白まで変化があります。
分布:本州・四国・九州
生育地:低山のやや暗い木陰
花期:3~5月、大きさ:5~15cm
ヤマルリソウ(丘菫) スミレ科スミレ属
高尾山の斜面には淡い青紫のヤマルリソウが咲いています。茎は斜上し淡紫色から淡紅色の花を次々と付けます。
分布:本州(福島以南~九州)
生育地:落葉樹林の林縁や道端など
花期:4月~5月、大きさ:20cm
タチツボスミレ(立坪菫) スミレ科スミレ属
日影沢林道にタチツボスミレが群生していました。野山で普通に見られるスミレです。
分布:北海道・本州・四国・九州・琉球
生育地:低地~山地の明るい林内
花期:5~6月、大きさ:5~20cm
ニリンソウ(二輪草) キンポウゲ科イチリンソウ属
日影沢林道に道端にニリンソウが群生していました。ニリンソウと呼ばれていますが1輪のものも3輪のものもあるようです。
分布:北海道・本州・四国・九州
生育地:平地~丘陵地の明るい林内
花期:4~5月、大きさ:15~25cm
別名:ガショウソウ
シロヤブケマン(白藪華鬘) ケマン科キケマン属
日影沢林道に道端にシロヤブケマンが咲いていました。ムラサキケマンの白花で花びらの先端に紫色が残っています。
分布:北海道・本州・四国・九州
生育地:やや湿った草原・市街地・農村など
花期:5~6月、大きさ:20~50cm
ミヤマハコベ(深山繁縷) ナデシコ科ハコベ属
山地の谷沿いの湿地などに咲くハコベです。花茎の先に白色い5弁の花を付けます。花弁は深裂するので10弁に見えます。
分布:北海道・本州・四国・九州
生育地:山地の谷沿いの湿地
花期:5~7月、大きさ:10~40cm
アオイスミレ(葵菫) スミレ科スミレ属
日影沢林道で見つけた白いスミレはアオイスミレ、花は淡紫色から白色でウサギの耳を立てたような形に見えます。葉がフタバアオイに似ていることから名付けられました。
分布:北海道・本州・四国・九州
生育地:山野の樹林下
花期:3月~5月、大きさ:10cm
別名:ヒナブキ
セントウソウ(仙洞草) セリ科セントウソウ属
日影沢林道にセントウソウが咲いていました。葉がセリバオウレンに似ることから名付けられました。
分布:北海道・本州・四国・九州
生育地:低地~山地の林内
花期:4~6月、大きさ:10~35cm
別名:オウレンダマシ
ヨゴレネコノメ(汚れ猫の目) ユキノシタ科ネコノメソウ属
ヨゴレネコノメはイワボタンの変種です。萼片は暗褐紫色から淡緑色でほぼ平開、雄しべは4または8本、葯は暗紅紫色などの特徴があります。
分布:本州(関東以西)・四国・九州
生育地:低山から山地・湿地・池沼
花期:3月~4月、大きさ:5~15cm
別名:ヒナブキ
コチャルメソウ(小哨吶草) ユキノシタ科コチャルメソウ属
春に根元から花茎をのばし茶褐色の目立たない花をまばらに付けます。名前の由来は花がラーメン屋さんのチャルメラに似ているからとか。
分布:本州・四国・九州(北部)
生育地:湿った林庄や沢沿い上
花期:3~4月、大きさ:20~30cm
カンアオイ(寒葵) ウマノスズクサ科カンアオイ属
くすんだ緑色の葉の下には地面に埋もれるように茶褐色の花が咲いています。このため種子が広範囲に散布されず地域的な変種が多いと言われています。ギフチョウの食草としても知られています。
分布:本州(関東から近畿)
生育地:山地や森林
花期:10~2月、大きさ:10cm
別名:カントウカンアオイ
ミヤマシキミ(深山樒) ミカン科ミヤマシキミ属
関東以西の山で見かける常緑の低木、枝先に白い花を多数付けます。葉に毒を含むためシカなど草食獣の多い場所では繁茂することがあります。
分布:本州(関東以西)・四国・九州
生育地:山地の林内
花期:3~5月、大きさ:50~100cm
ヤマネコノメソウ(山猫の目草) ユキノシタ科ネコノメソウ属
ネコノメソウの仲間は見分けるのが難しい花の一つです。ヤマネコノメソウは葯裂片は黄緑色で平開、雄しべは8本、まれに4本、葯は黄色、腎円形で基部が心形の葉が互生などの特徴があります。
分布:北海道(南西部)・本州・四国・九州
生育地:林縁部や渓谷・石垣など
花期:3~4月、大きさ:10~20cm
ハナネコノメソウ(花猫の目草) ユキノシタ科ネコノメソウ属
小下沢の流れに白い花ネコノメソウが咲いています。白いネコノメソウはハナネコノメソウと近畿に咲くシロバナネコノメソウ。ハナネコノメソウはこの時期の高尾山のハイカーのお目当ての一つです。
分布:本州(関東から中部)
生育地:山地谷沿いの湿ったところ
花期:3月~4月、大きさ:5~10cm
カンスゲ(寒菅) カヤツリグサ科スゲ属
山などで普通に見られるスゲです。スゲに仲間もまた見分けることが難しいもので、カンスゲの葉の断面がV字状になることが特徴。良く似たミヤマカンスゲはM字状になります。冬でも緑の葉を枯らすことのないことから寒萓と呼ばれます。
分布:北海道・本州・九州
生育地:山地の木の陰など
花期:3~5月
ヤブコウジ(藪柑子) ヤブコウジ科ヤブコウジ属
小下沢林道にヤブコウジの赤い実を見付けました。ヤブコウジは赤い実のなる常緑低木です。お目出度い木としてセンリョウ(千両)、マンリョウ(万両)やカラタチバナ(百両)に対し十両とも呼ばれています。
分布:北海道・本州・四国・九州
生育地:山地の林内
花期:7~8月、大きさ:10~20cm
別名:ジュウリョウ
ミミガタテンナンショウ サトイモ科テンナンショウ属
高尾山の登山道にミミガタテンナンショウが咲いています。仏炎苞の口辺部が耳たぶ状に張り出しているのが特徴です。
分布:本州・四国
生育地:山野の林内
花期:4月~5月、大きさ:30~50cm
ツクバキンモンソウ(筑波金紋草) シソ科キランソウ属
日本海側に分布するニシキゴロモの変種で太平洋側に分布します。葉の葉脈に沿って紫色を帯びるのが特徴です。
分布:本州(関東から四国の太平洋岸)
生育地:山地の林内
花期:4~5月、大きさ:10cm
ノジスミレ(野路菫) スミレ科スミレ属
道型などで見かけるスミレです。花は淡紫色から青紫色、側弁は無毛、距は花弁と同色で細長い。葉は楕円状披針形、裏は紫色を帯びる。全草に微毛があるなどの特徴があります。
分布:本州・四国・九州
生育地:人家周辺の日当たりのよい道端や野原
花期:3~4月、大きさ:7~10cm
イカリソウ(碇草、錨草) メギ科イカリソウ属
城山へと登って行く登山道にイカリソウが咲いていました。薄紅色の花を碇に見立てて名付けたことは容易に想像できます。
分布:北海道(西南部)・本州・四国・九州
生育地:山地の雑木林の下
花期:4~6月、大きさ:20~40cm
別名:サンシクヨウソウ(三枝九葉草)
ナツトウダイ(夏燈台) トウダイグサ科トウダイグサ属
花の形が昔のローソクを用いた照明に似ているからことから名付けられたと言います。有毒植物ですが、根を瀉下薬として利用します。
分布:北海道・本州・四国・九州
生育地:平地・丘陵地・山地
花期:4~5月、大きさ:20~40cm
ユリワサビ(百合山葵) アブラナ科ワサビ属
ワサビに似た葉と花で根に小さなユリのような球根が出来ることからユリワサビと言います。
分布:北海道・本州・四国・九州
生育地:山地の渓流沿い
花期:3~5月、大きさ:20~30cm
ツボスミレ(壷菫) スミレ科スミレ属
山地でやや湿ったところで見かけるスミレ、花は小さい白色で唇弁に紫色の筋があります。
分布:北海道・本州・四国・九州
生育地:山地のやや湿った所
花期:4~6月、大きさ:5~20cm
別名:ニョイスミレ
シャガ(射干、著莪、斜干) アヤメ科アヤメ属
道端や丘陵地の林下などに群生します。日本には古く中国から渡来したと言われ、3倍体のため種子はできません。根茎からほふく枝を伸ばして増えます。
分布:本州・四国・九州
生育地:平地・丘陵地の林下
花期:4~5月、大きさ:30~70cm
別名:コチョウカ(胡蝶花)
イチリンドウ(一輪草) キンポウゲ科イチリンソウ属
小仏バス停近くにイチリンソウが咲いています。ニリンソウに似た白い花を付けますが葉は2回3出複葉、小葉は細かく裂ける。白い花を上向きに1輪付けるのが特徴です。
分布:本州(宮城以南)・四国・九州
生育地:落葉広葉樹林や山麓の土手
花期:4月下旬~5月、大きさ:20~25cm
別名:イチゲソウ
ミヤマエンレイソウ(深山延齢草) ユリ科エンレイソウ属
広卵形の大きな葉が3枚輪生し、その間から花柄を出し白い花をつけます。
分布:北海道・本州・四国・九州
生育地:山地の林内
花期:5~6月、大きさ:20~30cm
別名:シロバナエンレイソウ
写真をクリックすると大きな写真を表示します。